理学療法士の思考

認定理学療法士などをはじめ、理学療法関連のテーマを中心に情報を発信しています。認定理学療法士(運動器)、協会指定管理者(上級)、地域包括ケア会議推進リーダーを取得しております。

モンキーウォークの歩行効率性と大殿筋活動

こんばんは。本日は臨床のご指導をいただきましたのでその内容を整理します。

脳出血被殻)両麻痺(3年前くらいに左麻痺、今回右麻痺、運動麻痺:左<右)

ある程度歩行できるのですが、歩行中の右膝関節の不安定性を認めています。ご本人様は、特にロッキング傾向になることを気にされており、自己にて修正困難でした。

膝周囲筋の活動はハムストリングス優位で、大腿四頭筋の活動が乏しい状態でした。そこで、ロッキングが出ず、大腿四頭筋の活動を出すためにモンキーウォークなどを指導して行くことで、膝のコントロールが少し良くなってきている状態です。

しかし、歩行効率の点で考えるとモンキーウォークは力学的エネルギーが保存されないため、非常に効率の悪い歩行になることがデメリットとなります。大腿四頭筋の活動を強調しすぎてしまい、膝関節を固定的に使うような状態になりやすく、特にミッドスタンスにおける位置エネルギーの蓄えが不十分になってしまいます。

さらに、大殿筋の活動が得られにくくなるため、イニシャルコンタクト~ローディングレスポンスにおける遠心性活動が起こりにくく、ロッカー機能はほとんど機能していない状態になってしまいます。

このケースでは、徐々に膝関節のロッキングは軽減していることになりますが、歩容面では課題が多いです。

入院時から現在まで、モンキーウォークなどにより、大腿四頭筋の活動を得られてきており、ロッキングを制御している状態です。

今後については、歩行距離の向上と歩行速度の向上を目標としていましたが、そのためにも、歩容の改善が重要で、準動歩行への促しと、膝関節コントロール向上が必要と考えます。つまり、ゆっくりとした歩行ではなく早い歩行へ促していき、MStでの膝伸展を促し、TStで十分な前足部への体重移動を促していくようにアプローチしていくことが必要と考えます。

プログラムは、

①ブリッジ練習:大殿筋・コア活動↑

②骨盤の前後傾:体幹活動

③起立着座練習:stop standingや反復起立誘導(慣性力+)

④立位オシレーション:コア賦活、加速度入力

⑤ステップ練習orトレッドミル:大殿筋タッピングor誘導

取り合えず、⑤ではトレッドミルを試して評価してみる。(まだ実施していない)

一度自分の中で治療方針が決まった段階まで来ましたが、ご指導いただき、静歩行・準動歩行の観点や、力学的エネルギーなどの観点を踏まえて自分なりに考察しました。

引き続き、リハビリを進め、EPDCAサイクルを回していきたいと思います。