臨床の疑問:大腿骨転子部骨折の手術~TFNA、PFNA、ガンマ3~
こんばんは。
今日はうちの病院に実習生が来ているわけですが、担当しているケースの方が、大腿骨転子部骨折に対してTFNAを施行していることから、用語の整理をしておこうかなと思い、TFNA、PFNA、ガンマ3について調べてみました。
①ガンマタイプ
ガンマタイプとは総称であり、TFNA、PFNAはともにガンマタイプになります。ガンマネイルタイプともいわれます。
②Gamma3 U-Lag screwとPFNAについて
Gamma3 U-Lag screw(stryker社)
今回使用したGamma3 U-lag screwはラグスクリューのネジ山の先端でUブレードが広がる構造となっており,骨接触面積を増大することで骨頭との間の回旋安定性の向上,カットアウト抵抗力の向上を目指したものである.またスクリューのスレッドが軸方向に対して垂直面をなしており,引き抜きおよび押し込みに対する抵抗力に優れている.つまり,U-lag screwは軸方向への移動抵抗力が強いというラグスクリューの利点を残しつつ,弱点であったカットアウトおよび回旋に対する抵抗力を増加させたということができる.
PFNA:Proximal Femoral Nail Antirotation (SYNTHES社)
PFNAは先端をブレード状にして骨との接触面を大きくし,さらに骨梁組織を圧縮しながら挿入することでカットアウト抵抗力を向上させている.またブレードの断面をレモン型とすることで,骨頭との間の回旋運動に対する抵抗力を向上させている.諸家の報告でも概ね良好な臨床成績が得られている.一方でブレード状としたことでスレッドがなくなり,またブレード自体のロッキング機構を有しないために軸方向への移動抵抗力が小さくなった可能性がある.過度のスライディングやバックアウトによる再手術の報告が散見されるのはこの影響もあるのではないかと推測できる
引用:針金ら:大腿骨転子部骨折に対するGamma3 U-lag screwとPFNAの比較検討,骨折,32(2),2010
③TFN-ADVANCED Proximal Femoral Nail Antirotation(SYNTHES社)
Depuy&synthes社の新商品。
Japanese PFNAと比較するとラテラルカットを延長し、ベンドポイントを上方へ変更することでネイルの形状が髄腔によりフィットするように改良されているもの。
変更点:ネイル近位径が16.5mmから15.66mmへ短くなった。インプラント外側のラテラルカットがテーバー下端まで延長されたこと。ベンドポイントを上方に8㎜移動したことがあげられる。
引用:上甲ら:CTを用いたTFNAの適合性評価,中部整災誌,60,117-118,2017
転子部骨折の手術で必要な知識(キーワード)
①三点固定の原則
ピンやスクリューで固定する場合、スクリュー刺入部、頸部内側皮質、スクリュー先端の三点で固定する必要がある。これを三点固定の原則という。これにより、骨頭の内反転移を防止する。中間部剪断骨折や頚基部骨折では、頚部内側皮質が骨頭骨片側についているため、頚部内側皮質で固定できず、理論的に三点固定ができない。そのため、骨頭骨片は、ピンやスクリューごと内反転移しやすい。これらの骨折型では、角度安定性のある、Sliding Hip Screwを用いるのが良い。
②カットアウト
骨頭頸の短縮により、骨頭側からスクリューやピンが飛び出してしまうこと。
③テレスコーピング
terescopicとは、携帯型の望遠鏡のように、重なり合った筒が伸び縮みする構造
のことである。大腿骨転子部骨折に用いられるSHSやShort femoral nailには、terescoping機構が搭載されており、スクリューが頚部の短縮に伴い、lag screwがcut outしてしまうのを防ぐ。terescoping機構は、短縮した分をスクリューが下方へ抜けることで対応し、骨片がかみ合ったところで安定させる。しかし、過度のterescoping機構は治療成績に影響を与えると考えられている。
④ラグスクリューに求められること
カットアウトはラグスクリューの大腿骨頭内で頭側方向への移動とされているが,それ以外にも骨頭内でのラグスクリューの移動として骨頭との間の回旋運動,軸方向へのスライディングが挙げられる.これら全ての移動に対する抵抗力を向上させることがラグスクリューには求められる.
考察
あまり聞きなれない領域であり、私もまだ理解が不十分です。要するにガンマネイルタイプの手術の内固定材料として使用するものは複数あり、時代とともに進化しているようです。今回上げたもの以外にも種類があると思います。転子部骨折の手術としてガンマネイルタイプのものを使用する場合、カットアウトという重大なリスクがあるため、それを防ぐように考えることが重要になるようです。そこで、整復しやすさや骨折リスクなどによって選択するようです。上記のガンマ3とPFNAの研究論文では無作為にどちらかの手術を選択させて研究を行っているため、ガンマ3とPFNAの適応患者はそれほど違いがないのかなと思いました。(ガンマネイルの方が骨を削り穴をあける必要がある(リーミング)が必要になり、出血量も多いとの記載を見つけました。)
TFNAに関しては、フィット感を向上したので安定しやすくなったのかなと思います。比較的新しいようです。今後増えていくのでしょうか。
今回は、転子部骨折の手術方法であるガンマタイプのものに関して調べた結果を載せてみました。しかし、理解度が低く、わかりにくい記事になってしまいました。今後また余裕があれば調べてみようと思います。
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