理学療法士の思考

認定理学療法士などをはじめ、理学療法関連のテーマを中心に情報を発信しています。認定理学療法士(運動器)、協会指定管理者(上級)、地域包括ケア会議推進リーダーを取得しております。

変形性股関節症の評価・治療について

使う写真がなかったので、休み中に行った佐野アウトレットの写真でも乗せとくか・・・笑

 

こんばんは。本日は認定理学療法士試験の変形性股関節症の内容を終わらせることに成功しました。ちょっと予定より時間がかかってしまっているので、どんどん進めていこうと思います。

簡単に今日勉強したことをアウトプットさせていただきます。

 

変形性股関節症の評価について

理学療法士の評価としては一般的に整形外科的な検査として関節可動域や筋力など図りますが、変形性股関節症を評価するための評価方法が存在します。当院では、一切使われていませんが、変形性股関節症の患者様が少ないことも影響していると考えられます。

日本でもっとも普及しているものは、JOA HIP Scoreです。疼痛、可動域、歩行能力、ADL動作の4項目を評価し合計100点になります。

世界的に普及しているものは、Harris Hip Scoreです。疼痛、機能、変形、可動域の四項目を評価し合計100点になります。

他にもAAOS Hip and knee scoreやCharnley scoreが認定試験の資料には記載されています。

これらの評価に共通しているのは、疼痛を最重視していることです。また、可動域や関節機能、ADLに関する項目が含まれているものがほとんどであるという特徴があります。つまり、これらの評価項目に関わらず、変形性股関節症理学療法を行う上では、しっかりとした疼痛の評価やROM、ADL動作分析等の評価を念頭に置いておくことが大切だと感じました。

 

変形性股関節症の健康関連QOL(HRQOL)の評価

HRQOLの評価は、包括的評価と疾患特異的評価の2つに大きく分けられます。包括的評価は疾患に関係なく比較が可能であり、疾患特異的評価は、ある特定の疾患を対象として、それに応じた評価内容になっているものです。

HRQOLの評価として、最も普及しているのはSF-36です。これは国家試験にもでる内容なので聞いたことがない理学療法士の方はあまりいないと思いますが、実際臨床ではあまり使ってこなかったので内容をあまり把握していませんでした。とりわけ重要なのは8つの下位尺度が存在する点です。それぞれ、単独で使用可能である点も大切です。

8つの概念(下位項目)として、①身体機能②日常役割機能(身体)③体の痛み④全体的健康感⑤活力⑥社会生活機能⑦日常役割機能(精神)⑧心の健康があります。

正直まだ、覚えきれていないです。

身体機能、身体役割機能(身体)、身体役割機能(精神)、社会生活機能

全体的健康感、心の健康、体の痛み、活力

の順の方が覚えやすい気がしました。

疾患特異的評価では、変形性股関節症に用いるものとしては、WOMACが有名です。WOMACは股関節、膝関節の変形性関節症に対して用いることができます。

それ以上はよく知らないですが。

 

変形性股関節症患者様に対する問診・身体所見の要点

問診はやはり、疼痛についてはよく聞いておく方がいいと思います。変形性股関節症で病院に来る方は、ほぼ確実に痛みがあってくると思います。そして、過去長期間にわたり痛みがあった場合が多いのです。そのため、疼痛歴について詳しく聴取するようにするとよいと思います。

次に変形性股関節症になるリスク因子を持っているのかを聴取しておくとよいとのことです。リスク因子として有名なのは、肥満、スポーツ、職業です。日本では特に重量物運搬系はリスクになりやすいようです。それ以外は、海外の知見を参照しており、日本人でのエビデンスは不十分のようです。海外では、アスリートレベルのスポーツは、レクリエーションレベルのスポーツよりも一次性変形性股関節症のリスクが高いことがわかっています。

また、既往歴としては当然臼蓋形成不全の有無が重要です。遺伝的な影響としては、親の骨盤形状に似る場合があるようですが、聴取しにくい情報なので、患者様が情報を持っていれば遺伝的な要素も聞き出せる可能性があります。これらの情報は、もともと変形性股関節症になりやすいかどうかに影響してくるため、なぜ変形性股関節症になってしまったのかを考察するうえで重要になると思います。

 

④二次的変形性股関節症の治療

保存療法と手術療法の見極めについては画像所見をよく見ることが重要になるということは以前のブログに記載してありますのでご参照ください。

ptthinking.hatenablog.com

 今回は、手術適応になった患者様の進行時期によって用いる手術の種類についてです。

手術適応として判断された場合

①前・初期

 ・臼蓋形成術:骨盤の骨(腸骨など)を切り取り、臼蓋に移植する方法です。

 ・大腿骨内反骨切り術:大腿骨転子部の内側を楔状に切り取ることで大腿骨を

            内反します。

 ・寛骨臼回転骨切り術(RAO):寛骨臼自体を切り取り、切り取った部分を

                ずらし、寛骨臼の面積を増やすような手術です。

 ・Chiari骨盤骨切り術:骨盤自体を切り、臼蓋を奥へ押し込んだ方向へずらします。

②進行期

 ・寛骨臼回転骨切り術(RAO)・Chiari骨盤骨切り術

 ・大腿骨外反骨切り術:大腿骨転子部の外側を楔状に切り取り、大腿骨を

            外反します。内反骨切り術と同様に、関節の圧迫される

            場所を変えることができます。

 ・鏡視下デブリドマン:関節内を洗浄しきれいにします。

③末期

 ・鏡視下デブリドマン

 ・THA

 ・関節固定術:若年男性の変形性股関節症の場合が適応です。

 

以上のような治療が行われます。フェイズごとに適応となる手術が異なっています。当院の変形性股関節症患者様の特徴としては、主に2パターンあるようです。

1つは、在宅生活を送っていたら強い疼痛が出現し、当院へ受診し保存療法でリハビリ開始となるパターンです。この場合は、画像所見と疼痛の経過を見極め、手術の適応になるかどうかもみつつ、Dr.と話し合いながら進めていく必要があります。また、疼痛の原因について動作分析やアライメント等の評価を行い、治療を進めていく流れになります。

2つ目は、手術適応となった方が、急性期の治療を終え、回復期病院である当院へ転院になった場合です。変形性股関節症のリハビリは退院可能レベルになるまでそれほど時間を要さないことが多いので、早期退院を視野に入れ、セルフケアの獲得~自主練習指導を優先的に進め、疼痛軽減・予防しつつ、動作指導、生活指導と進めていくことになる場合が多いです。

なので、私たちがこれらの手術に関する情報から読み取るべきことは、どのくらいの程度の変形性股関節症であったのかを実施した手術から読み取ることができるということです。例えばTHAであればある程度末期であった可能性がわかります。しかし、末期でないことがわかれば、何か理由があったのか?など考察が必要になるかもしれません。

こういった使い方もあるのかなと思いました。

なんとなくリハビリをしないように、Dr.がなぜこの手術を選択したのか?という視点もリハビリの考察に影響してくることがあるので、そういった情報をしっかりキャッチしていけるようになれるとよいのかなと思います。

 

考察

本日は変形性股関節症について、割と知らない情報が多かったです。あまり、当院ではケース数が多いわけではありませんが、こういった知識を活かして、実際に担当する場合や、他のスタッフが担当した際に、一緒に考えていけるようになりたいと思います。実戦でのアウトプットをしなければ、勉強した意味はないと思いますので、いかに実践するか。ケースを探さないとですね。