理学療法士の思考

認定理学療法士などをはじめ、理学療法関連のテーマを中心に情報を発信しています。認定理学療法士(運動器)、協会指定管理者(上級)、地域包括ケア会議推進リーダーを取得しております。

病院勤務セラピストの現状ー今理学療法士に求められるものー

こんばんは。本日は、病院勤務の理学療法士の現状について記事を書きたいと思います。すでに理学療法士で働いている方はもちろん、これから理学療法士になる方も参考にしていただけると嬉しいです。

病院勤務の現状

近年診療報酬改定により、医療費がどんどん削られ、1セラピストあたりの1日の稼げる金額はどんどん減少しています。また、回復期病院では、実績指数というものが導入され、ある程度の数値的な成果を出さなければならない時代になっております。

そうすると、病院経営にも影響があり、理学療法士が頑張っていても、病院の収益は減少してしまいます。今までと同じ給料を出すのであれば、別の場所で病院の収益を上げなければ、以前より病院全体の収益は減少してしまいます。

そのため、回復期病院では、実施単位(リハビリ実施20分を1単位とする)を増やし、収益を増やす方法が以前からとられてきていました。しかし、スタッフの負担や患者様のリハビリの必要性などを加味すると、限界が存在するわけです。特に現在収益を上げるために1患者あたりのリハビリの量を増やすという動きは、少し古い考え方になります。以前は、リハビリの量が多い病院をランキングして、多くやっているところが良いというような風潮があったかもしれませんが、今の時代の流れからして、医療費を削減し、必要最低限での効果のあるリハビリを影響するいわば質を求めることが重要視されてきます。そうなると、必要以上に1患者あたりのリハビリを増やすのではなく、効果の出せる時期はしっかりやって、退院時までには退院後を想定しリハビリの量を減らすような対応となるため、病院の都合で1患者あたりのリハビリ量を増やすべきではないわけです。私の勤務している病院では、患者様に適した量のリハビリを提供することをベースに以前から、必要性を考え、リハビリを影響しておりました。

一方、来年度から働き方改革がスタートするに伴い、残業、残務などを極力減らすようにとの指示があります。どこの会社でもそうかもしれませんが、すでに忙しい状態から、有休をとるために休みを出すとなれば、今までより休みが増え、1日あたりのやることが増え、回らなくなってしまいます。そうならないために、いろいろ対策があると思いますが、根本的にはやはり業務効率化を今まで以上に加速することが求められます。今まで当たり前に行ってきたことに対しても、本当にやる必要があるのか?もう一度吟味し、やらなくていいものをなくしたり、より効率的に行う方法についてよく考えることが求められています。

理学療法士に求められること

上記以外にも気になることがある方も多いとは思いますが、今回は、医療費削減問題と働き方改革に関する視点から、今の病院の現状を整理しました。

そうすると理学療法士として今後何が求められるでしょうか。

①早期退院、質の高いリハビリの提供ができるマネジメント能力

 少ない単位で、医療コストを最小限としても、動作能力の向上を図れ、なおかつ早期に退院させることができることです。入院時から計画的に、理学療法を施行し、同時に退院へ向けた連携・調整を他職種と連携して行える主体的なセラピストが求められると思います。

②業務効率が良く、時間内に仕事を終えられる能力

 働き方改革により残業を減らす動きは加速します。なるべく残業にならず、残務にもならないためには、高速で仕事を終えられ、なおかつ一定の成果を出せる人材が求められます。そして、そういった人材を育成できる教育的視点と、組織のシステムを根底から見直せる広い視野を持った人材が求められると思います。

 

まとめ

以前は、より患者様のためにやれることは何かというようなことを考えてきた理学療法士も多いと思います。しかし、日本の現状、病院の現状を考えると、少子高齢化のピークへ向けて、効率的な業務、効率的な理学療法の実施が必ず求められてきます。それに向けての準備期間もそろそろ終わるかもしれません。今のうちに、将来を見据え、理学療法士のいろいろな仕事を一度見直す時期なのだと思います。